傷痕



 週一で雨沢に抱かれてたカラダを。
 週三で加賀に貪られる。


「あ…ぁあん…ッ!」
 思わずあげた声を片手で塞がれる。後ろから腕を捩じ上げられながら、脱がされかけた制服の隙間から桜沢は激しく突き上げられていた。グイグイと思い切り突かれて、濡れた音が室内にひっきりなしに響く。前立腺を中から厳しく責め上げられて、桜沢のものはいまにも弾けそうに蕩け切っていた。タラタラと先走りの糸を床に垂らしながら、更なる刺激を求めてふるふると頭を振っている。ググっと深みまで一気に犯されて、桜沢の喉が悲鳴に引き攣った。
「この淫乱が」
「ひっ…ひぃぃッ」
 突き上げたままグリグリと中で掻き回されて、桜沢は沸き上がる快感に涙を散らした。何度もそれを繰り返された後に今度は勢いよく凶悪な律動を加賀が始める。限界にまで張り詰めた屹立がふるふると首をもたげた。激しく揺さぶられて、無理やり向き合わされている壁にいく筋もの粘液がそこから跳ね飛ぶ。濡れた音に混じって、桜沢のくぐもった悲鳴が断続的に聞こえる。
「なあ、後ろを犯してくれるヤツなら誰でもいーんだろ?」
「や…だめ…っアアッ!」
 後ろから欲望を握られて、絞り込むように何度も強く扱かれる。その痛いくらいの刺激を受けて更に歓喜の涙が床に滴った。透明な糸が薄暗い室内でごく僅かな明かりを受けて光りを放つ。華奢なカラダが快感にむせび泣いていた。
「ろくに触ってもいないのに涎でベトベトだぜ」
「さ、触ンな…っ」
「テメーの云うことなんか利くかよ」
「……っ!」
 とろとろに蕩けた先端に爪を割り入れられて、桜沢のカラダが細かく痙攣した。大きな掌に塞がれて、桜沢の悲痛な悲鳴は余韻だけを残して部屋の隅へと消える。更に細い尿道をくじるように爪で軽くソコを嬲られながら、力強く中を突き上げられて桜沢は怒涛の快楽に押し流された。敏感な先端を弄られる神経質な痛みと快感、イイトコロを堪えず刺激される抵抗できない充実と快楽。桜沢はきつく拘束されたまま、待ち望んだ絶頂をようやく迎えた。
「あ…っ、あっ…ン」
 射精の間にもグイグイと前立腺を乱暴に刺激されて、壁に叩きつけられる奔流は勢いを失った後もチョロチョロと先端から精液を吐き出していた。ぐったりと壁にカラダを預ける。しかし。
「まだ俺が終わってねーよ」
 強烈な快感の余韻に浸る間もなく、加賀が突き入れたままの張り詰めた欲望でグイグイと桜沢を揺さぶった。全ての拒否権を奪われている桜沢はただそれに従うしかなかった。また腕を取られて後ろ手に捩じ上げられる。痛みに顔をしかめるとそれを上回る痛みが桜沢を襲った。限界にまで張り詰めて加賀を呑み込んでいるソコに、更に無骨な指が加えられようとしているのだ。
「ヤッ、むり…そんな」
「うるせーよ」
 だが午前中に一度、加賀が放った精液で潤っているソコは多少の痛みと共に太い指をなんなく呑み込んでしまった。そのまま腰を入れられて指の違和感が顕著に浮き上がる。熱っぽく爛れた内部をゾロリと撫ぜられて、桜沢は背を撓ませた。
「や、ヤダそんなの…」
「バーカ、まだこれからなんだよ」
 そう云って加賀がククっと喉を震わせる。
 太く長く膨張した凶悪な欲望を抜け落ちる寸前まで引き抜いてから、またゆっくり中へと戻していく。桜沢がもどかしい刺激に小さくうめいた。だが熱い中の感触を楽しむように、加賀は何度もそれを繰り返す。中に挿し入れた指はそのままに、残った指でソロソロと根元付近を刺激される。じわじわとカラダに火がついていくようで、桜沢は力なく頭を振った。こんなもどかしい快感で嬲られるくらいならいっそ、激しく責め立てて欲しい。欲望のままに突き上げて欲しい。無意識に腰を揺らしながら、桜沢はあまりのもどかしさに泣いた。キュッキュッと内部が収縮しながら加賀を絞め付けるようになったのを確認してから加賀は中に含んだ指をググっと鉤型に曲げた。ビクンッと驚いたように細身がわななく。指で前立腺に爪を立てリズミカルに刺激しながら、膨張した欲望で最奥のポイントを突く。
「ひっ、やぁあッ」
 途端に桜沢の息が乱れ始めた。たまらなく感じる箇所をピンポイントでグイグイと刺激されて、先端からトロトロと先走りが溢れた。その刺激に合わせるようにして、激しく奥まで何度も突き上げられる。加賀が膨れ上がった欲望を最奥に突き入れた所で深くグラインドさせる。その間も小刻みに前立腺を刺激され続けて、桜沢のすっかり張り詰めた欲望はひっきりなしに粘液を垂らしていた。
「また涎だらけだな、淫乱」
 腕の拘束を解いても、快楽に溺れたカラダはそのまま腰を振り続けている。前で張り詰めた欲望を握り絞めると加賀は乱暴にそれを扱き立てた。充血し、赤く染まった先端が涙に濡れそぼる。
「ダメ…またイっ…ちゃ、うっ」
「なんだ、イキたくねんならそう云えよ」
 搾り出すような悲鳴に加賀は笑って根元を戒めた。キツク指で塞き止めながら思い切り中を突き上げる。ポイント上で微妙なバイブレーションを繰り返す指を更に欲望でグイグイと突かれて、桜沢のペニスからだらだらと白い粘液が糸を引き始めた。
 下半身に何かが取りついたように、強烈な快感が牙を剥いて食らいつく。逃れようもなく強制的な快感に身を晒される。やがて吸い上げるような収縮を始めた内部を擦り上げながら、加賀は最後に深く突き上げてから熱い奔流を内部に叩きつけた。
「雨沢…」
 その掠れた小さな呟きを聞きながら、桜沢は絶頂で少しだけ緩んだ手の隙間から細く白濁を吐き出した。

 ズルりと萎えた欲望が引き抜かれた。今日吐き出された二回分の精液が途端に含み切れずトロトロと溢れ出した。挿し込まれたままの指に入口を広げられてポタポタと白濁が床に散っていく。
「…雌犬」
 ズルリと崩れ落ちたカラダを尻目にシャワーを使うと、加賀はさっさとシャワー室を後にした。残された桜沢は、ぼんやりと加賀の使ったシャワーの水流が排水溝に白濁を押し流していく様を眺めていた。ややしてからボロボロに貪られたカラダをゆっくり起こす。制服が濡れるのも構わず、コックを捻って熱い奔流に身を任せる。途端に涙がわき上がった。
 カナシイ? そんなコト云える立場じゃないのに。


 何度、後悔したかしれない。あの時、あんなコト云わなければよかったんだ。
 そうすれば雨沢は死なずに済んだのかもしれない。
 加賀から雨沢を奪ったのは自分なのだ。
 その自分に、己の身を嘆く資格など皆無だ。それなのに。
「雨沢…」
 加賀の呟きがいつまでも耳に残って桜沢を苛んだ。


 流れる涙はシャワーに紛れて、誰にも知られずに排水溝へと消えていった…。


end


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